〜ΒΘЯDЕR X〜ボーダークロス
…『歓喜』

…『挑戦』

そして…

…『達成』。

…一歩間違えれば掠り傷だけでは済まされないストリートでのジブと呼ばれるセッション…

雪山の…スキー場にいる神様は総てのみんなに平等に楽しみを分けてくれる……

しかし…

ストリートに潜む女神様はとびっきりリアルなヤツしか微笑まない…

彼女の笑顔を得られたスノーボーダー達は更なる快感を求め次のステージへと突き進んでいく。

まだ見ぬリアルな世界へと…

…北村雪美(ゆきみ)はココロの中で拳を強く握り締めた。

幾度無く撃ちのめされた階段の手摺りをこれまでに無いくらい気持ち良さで擦り降りたのだから…

『リアルってのは楽しんでるヤツが見れる世界なのさ』

…雪美のスノーボードの師匠であり彼女が所属するプロスノーボーダーチーム『地摺商会』の会長・相原康季がよく口にする言葉が今、実感した……

(…体が自然に動き……時間がゆっくりと流れたあの感覚……アレが…リアル?)

仲間が褒め称える中で雪美は仲間とは違うもう一つの視線に気付いた。



「…スゴい……」

冬哉は初めてダンスを観た時の様に…イヤそれ以上に体の震えが収まらなかった。

この体の中からフツフツと沸いてくる物は?

…どれだけテレビやゲームで凄いと思ってもその場に居なければ感じる事の出来ないリアルな出来事…

冬哉はただただ、その夜の住人たちを眺めているだけだった…


…そして冬哉と雪美の目が交差(クロス)した時…少年の運命と物語が動き始めたのである。
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