S-exchenge
この土には、ここにいる植物達に対する愛情がたっぷりと込められている。


それが俺には判る。


一体どんな奴が、こいつらの世話をしてるんだろうな。


是非とも会ってそいつの顔を見てみたいもんだな、と俺が思った矢先。


この中庭の入り口の方から誰かが入ってきた気配がした。


沈丁花の茂みに屈み込んで、半ば木の影に隠れてしまっている状態の俺の事は向こう側からは見えないんだろう。


「はぁ。」


その人物は、そんな重苦しい溜め息を付きながら、こっちへ向かって傘をさしたまま歩いてくる。
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