騎士と夢巫女

夢巫女、保護される






『あ、あの……』




「話は後だ。今の時間は分が悪い」





青年が、由乃の腕を引っ張る。しかし、腰の抜けた由乃には立ち上がることが出来なかった。





『こ、腰が抜けて……』





「……ったく。背中に乗れ」




由乃の前に背中を見せて青年は座り込んだ。その提案は、有り難いものだ。しかし、初対面の人の背中に乗るのは、なんとなく気が引ける。




『え、でも……私重いですし』





「いいから乗れ。さっきのような奴らは、これからもっと出てくるぞ??それでもいいなら置いていくが??」




青年は何の問題も無いとでも言いたげな顔をして、立ち上がろうとする。その腕を、由乃はすがる思いで掴んだ。





< 15 / 57 >

この作品をシェア

pagetop