騎士と夢巫女
『う、動こう。立ったままでいたって体温もっていかれるだけだし』
由乃は足を動かし、一番目標にしやすい小高い山の上にあるお城を目指して歩き始めた。
『さ、寒い。そんな事考えちゃ駄目か。怖い、怖い、暑すぎて怖いは~』
暑いといってみたが、結果がそう簡単に変わるわけもなく。ただ虚しくなるだけだった。
『人がいないほどの時間って……もう夜中??』
一人で知らない町の道端で目が覚め。不安と恐怖からか独り言が増える。
町並みがゆっくりと景色を変えていく中。もう人には会えないだろうと絶望が心の四分の一を占めた頃。
劈くような悲鳴が聞こえた。