騎士と夢巫女
「だれか、誰か助けて!!!!」
路地を出ると、今まさに女の人が襲われていた。物陰から、様子を伺う。ドレスを身に纏った女の人は、腰を抜かしたのか道に座り込んでいる。
女の人に襲い掛かろうとしているのは、明らかに人には見えない。
真っ黒な煤を身に纏ったように、清潔には程遠い様相。ボサボサの髪。ボロボロの衣服。男か女かさえ判断できない。
あ、あぁぁぁ。あれアカン奴や!!!!
人でも助けに行く勇気ないのに。人っぽくなかったらより勇気いるじゃない!!
鉄の棒を握る手がガタガタと震える。
でも、あの人の方がもっと怖いはず。怖いけど……人を見殺しになんてしたくない!!