きっと、君を離さない



「春ちゃーん!お皿洗えたら持ってきてちょうだい!ストックないわー」




カウンターから江梨子さんの声がする。
私は濡れた手をタオルで拭くと、渇いたお皿を持てるだけ持ってカウンターに向かった。



「はい」

「ありがと~」




定位置にお皿を置くと、江梨子さんはニコニコと笑いながら手を振る。
江梨子さんもなかなか飲んでいるみたい。



「オーなんだいママ。可愛らしい子じゃないか」

「でしょう?でも、ダメよ。あの子まだ未成年だからね。接客はできないんだよ」

「残念だね。でも、将来いいタマになるんじゃないか?」

「だめだめ、あの子はそんなことができる子じゃないわよ。ほら、春ちゃん、仕事に戻った戻った」




私は軽く会釈をして自分の持ち場に戻った。
気持ち悪い。

人のことをジロジロと品定めするみたいに。



人をなんだと思っているんだ。




< 10 / 390 >

この作品をシェア

pagetop