きっと、君を離さない
「春ちゃーん!お皿洗えたら持ってきてちょうだい!ストックないわー」
カウンターから江梨子さんの声がする。
私は濡れた手をタオルで拭くと、渇いたお皿を持てるだけ持ってカウンターに向かった。
「はい」
「ありがと~」
定位置にお皿を置くと、江梨子さんはニコニコと笑いながら手を振る。
江梨子さんもなかなか飲んでいるみたい。
「オーなんだいママ。可愛らしい子じゃないか」
「でしょう?でも、ダメよ。あの子まだ未成年だからね。接客はできないんだよ」
「残念だね。でも、将来いいタマになるんじゃないか?」
「だめだめ、あの子はそんなことができる子じゃないわよ。ほら、春ちゃん、仕事に戻った戻った」
私は軽く会釈をして自分の持ち場に戻った。
気持ち悪い。
人のことをジロジロと品定めするみたいに。
人をなんだと思っているんだ。