きっと、君を離さない
入院生活というのはなかなか暇なものだ。
腹の傷はなんとなく痛むし。
かといって他が特別しんどいところもない。
だから眠ろうにも眠れない。
きっと変な時間に無理やり眠ると夜今度は目がさえるってパターンな気がする。
入院二日目にして、飽きた!
池内にメールして漫画でも持ってきてもらうかな。
「悠ちゃん!」
ガラガラと開く扉の音と同時に聞こえた声。
お前、ノックくらいしろよと心の中で笑いながらその声の方を見る。
そこには、眉を八の字に下げた可愛い彼女の姿。
竹内菜緒、俺とタメの21歳。
「おー、菜緒」
「おーじゃないよ!心配したんだから!」
ひらひらと手を振れば今度は怒りだしズカズカと入ってくる。
かなり心配をかけてしまったらしい。
きっと。
池内が知らせたんだ。
俺を止めさせるために。
わからせるために。
きっと、池内が正しい。