きっと、君を離さない
「悠ちゃんっていつもそうなんだから」
「ん?」
「いつも誰かのために犠牲になってる」
「そんなことないよ」
このまま、気づかないふりをして目の前の彼女だけを見ていけば俺はきっと幸せだ。
菜緒を傷付けることはないし、俺も傷つくことはない。
でも、春香ちゃんは?
春香ちゃんには何が残るの?
「前だってさ、出かけた先でトラブルに自分からまきこまれに行ってさ。そしたら終電逃して大変な目に遭ってたじゃん」
「・・・よく覚えてるね」
「不良の喧嘩とめに行って怪我したり」
「はは・・・」
「悠ちゃんは、お人よし過ぎるの!」
てか、俺がただ考えなしのバカじゃね、それ。
でも全部、その時にはそうしなきゃって本気で思った事ばっか。
それで後悔なんてしてないし、今でもそれでよかったんだって思う。
それなのに、今回は見てみぬふりをするの?
それでいいの?