きっと、君を離さない
「悠ちゃんはみんなに優しいから」
「・・・優しくなんかないよ」
優しいのかな。
これは、優しさなのかな。
偽善者だと言われた。
そうなのかもしれない。
いい人に見られたいのかな。
「悠ちゃん?」
「・・・ん?」
「どうしたの?」
「なにが?」
「ボーっとしてる」
ガラッ
扉が開く音がして、視線をそちらに向けた。
菜緒も同じように入り口に視線を送る。
そこに立っていたのは、春香ちゃん。
俺は目を見開く。
無駄に、鼓動が早くなる。
別に何もやましいことなんてないのに。
春香ちゃんは、俺と菜緒を交互に見る。
「悠ちゃん?知り合い?」
「え・・・あ・・・」
「私、時枝春香と申します。この度、大石さんに助けていただいた者です」
「ああ!」