きっと、君を離さない
中に入ってきたのは、少し年配の女性の人。
それでも、十分綺麗で化粧は少し派手目。
「こんにちは、私、黒川江梨子と申します」
「・・・こんにちは」
「俺、席はずそうか?」
「いや、いいよ」
どこかで、見たことあるような気はするんだ。
でも、思い出せない。
「一度だけ、お会いしたことがあります。私、ここのママをしています」
「・・・あ、春香ちゃんが働いてたスナックの!」
「そうです。思い出していただけましたか?」
俺は頷く。
そう言えば、あの時だけだったし、あの時は親戚のおじさんの相手で必死だったから。
でも、そんな人がなぜ?
「春香ちゃんの、ことですか・・・?」
「ええ。まずは、今回の事本当に申し訳ありませんでした」
「あ、いえ。別に春香ちゃんが悪いわけじゃないので」
春香ちゃんがから聞いたのか?
自分の事話すようなタイプじゃないと思ってたけど。
「私は、春香の母親の遠い親戚なんです。それで、頼まれて店に置いているんです」
「そうだったんですか」