きっと、君を離さない



「ここ数日、少し様子がおかしかったので問い詰めたらあなたの事を教えてくれました。そして、この事故の事も・・・」

「ああ・・・」




そう言うことか。
やっぱり、自分で話したわけじゃなかったんだな。

春香ちゃんが、自分からそうやって打ち明けられる人って周りにいないんだろうか。
いたら、あんなに心を閉ざしたりはしないんだろうな。




「春ちゃん…春香の様子を見て不安になったんです。あの頃に戻ったような・・・。嫌なことを思いだしてしまって」

「え?」

「だから、あなたに会いに来たんです」





俺は、怪訝そうな顔をしていたと思う。
この人はきっと、春香ちゃんの事を知ってる。
俺なんかの知らない、ずっと深いところまで。


そう思ったら、なんかモヤモヤしたんだ。
当たり前なのに。
会ってまだ数か月の俺らと、きっと長い間彼女を見守ってきたであろう江梨子さん。





「会って、納得しました。あなたの、その真っ直ぐな瞳。彼に似ていたから」

「え・・・?」

「姿かたちは全く似てはいないけど、そうね、持っている何か雰囲気みたいなものが似てるのよ」




穏やかな表情を浮かべ、江梨子さんはそう呟く。
その言葉の真意が掴めず、俺は眉を顰めた。




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