きっと、君を離さない
「俺、は・・・」
「春ちゃんは、あなたと健太を重ねてみてます」
「・・・・・・・」
「あなたは、そんな彼女を受け入れられますか?」
「え・・・・・?」
受け入れる・・・。
「春ちゃんがいくらあなたに手を伸ばしていたとしても。それは、あなたに彼を重ねているからにすぎないかもしれないんです。春ちゃんが見ているのは、あなたじゃない」
「・・・・・・」
「それでも、あなたは春ちゃんの事受け入れられますか?」
有無を言わさぬような強い口調。
俺はいったい、どうしたらいい。
「その覚悟がないなら、あなたはあなたが今いる場所に帰ってください」
この人も、俺に春香ちゃんの手を放せという。
春香ちゃんと同じように、俺にはもっとふさわしい場所があるという。
「俺が手を放したら・・・春香ちゃんはどうなるんですか」
「今まで通り、生きていくだけです」
「それで、幸せなんですか。春香ちゃんは、それで幸せになれるんですか」
今まで通り誰も信じず、誰も愛さず。