きっと、君を離さない



人はバカだと笑うだろう。
そんなもの、いちいち拾っていたらきりがないと。


でも、俺にしかできないかもしれない。
俺にも何もできないかもしれない。


でも、なにもしないよりはましじゃないか。



やっぱり、俺には彼女を見捨てるなんてできない。








「別れよう」





次の日、やってきた菜緒にそう告げた。
それが俺の覚悟。

菜緒は目を丸くして、その大きな瞳に涙をため込んだ。



「な、んで」

「ごめん。・・・俺が、全部悪いから」

「なんでって・・・聞いてるの」

「・・・ごめん」

「ごめんって・・・理由になってないよ!」




泣き出した彼女を、俺はもう慰めることはできない。
もう決めたから。
もう・・・決めたんだ。





大ばか者だと、笑ってくれても別にいい。





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