きっと、君を離さない
「大石!」
怒鳴りつけるような声で病室に入ってきたのは池内。
来るころだと思った。
てか、ここ病院なんですけど。
「聞いたんだ」
「きいたんだじゃねぇよ!どういうことだよ!」
「聞いたとおりだよ」
「なんで!・・・あの子のためか」
「違うよ。俺がそう決めたんだ。・・・春香ちゃんは関係ない」
俺が決めたことだ。
それを、春香ちゃんのせいになんかしたくない。
「どっちか選ばないといけないんだろ」
「だからって、なんで春香ちゃんなんだよ!」
池内が胸ぐらをつかむ。
腹の傷がキリリと痛む。
「春香ちゃんが、好きなのか?」
「違うよ。そんなんじゃない。彼氏になろうなんて思ってないよ」
「じゃあ、菜緒と別れてまで選ぶ必要ないだろ!」
中途半端な覚悟じゃ、彼女の側にはいられない。
彼女の手は、とれないんだ。