きっと、君を離さない



「お、うまそう!」



目を輝かせながらひとつ拾う。
最近知った。

この人は、子どもっぽい。



そう言えば、あの時に出会って以来彼の彼女に出会っていない。
お見舞いに来るタイミングがずれているんだろう。

会いたいわけじゃない。



なんとなく、二人がいるところを見たくない気もする。




それは、どうしてなのかわからないけど。





「退院、明後日だって」

「・・・平日ですか」

「ん」

「わかりました」




本当は、もう少し早く退院できるはずだった。
でも、一度傷口を開かせた後、今度はその傷口が化膿したとかでいろいろと大変だったらしい。
その日は、会うことはできなかった。




そうこうしているうちに、退院が伸びてしまったのだ。
その傷口もすっかり塞がり、もう大丈夫だと言われたみたい。





「あれ!うさぎさん!こんなところで俺を見てた!」

「・・・・・・」

「なんだよ、教えてくれたらいいのに」



それは、ウサギに喋っているのか、私に喋っているのか、どちらなんでしょう。



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