きっと、君を離さない
「悠ちゃん、ダメな所私直すから!」
「だから、俺の問題だから・・・そういう事じゃない」
「いい加減にしろよ!菜緒にだって、お前が必要なんだよ!」
あまり、いい話し合いではないことくらいわかった。
ニコニコとかわいらしく笑っていた彼女。
今はそんな面影もなく、ただ泣きじゃくる。
なにがそうさせるのか、私には疑問だ。
「・・・また来るから」
「悠ちゃん・・・」
埒が明かなくなったのか、二人はそう言ってこちらに向かってくるではないか。
私は、慌てて扉を閉め逃げ出そうと足を進めた。
でも、この長い廊下、隠れる所なんて・・・ない。
タタタタと足音が聞こえ、私を彼女さんが追い越して走っていく。
「菜緒!」
草太がそう言って呼び止める声も、届いていない。
私は、恐る恐る振り返ると、草太と目があった。
「春香ちゃん?」
気まずいながらも会釈をすると、草太は私を連れて場所を移動する。