きっと、君を離さない
どうしてだろう、手に取ってしまったんだ。
「ケータイにつけようかな」
「つ、つけなくていいです」
携帯なんて、そんな日常的に触れるところになんて。
悠斗は携帯を取り出すともともとついているキーホルダーを切なそうな表情で見つめた。
次の瞬間、そのキーホルダーを外し、そこに私があげたキーホルダーを付ける。
「ん、これでよし」
満足そうに笑う彼が、少し無理しているように思えた。
その、外してしまったキーホルダーは彼女からもらったものだったんじゃないの?
だからそんな切なそうな顔したんじゃ・・・。
今でも、本当は好きなんだ。
それなのに・・・。
私なんかのために、その手を放すなんて、ダメだよ。
「私、帰ります」
「え?もう帰んの?」
私は立ち上がると、病室を後にした。