きっと、君を離さない



冷たい風が肌に刺さる。
めっきり寒くなってしまった。



私は制服の上にコートを羽織り、マフラーを巻いて病院の前に立っていた。




今日は、悠斗の退院の日。
何時に退院なのか聞いてはいないから、いつ出てくるのかわからない。



だから、一時間前からここにいる。





芯まで冷えた身体が震える。
耳がキンと痛い。





そして、ようやく悠斗の姿を見つけた。






「・・・え、春香ちゃん!?」





私の姿を見つけて、慌てて駆け寄る悠斗。
言っていなかったから、心底驚いたようだ。



「ちょっと、なにしてんの。言ってくれたら時間教えたのに!」

「いいんです。私が、こうしたかっただけ・・・なので」




寒さで、ろれつが回っているかわからない。
今日は、今週に入って特に寒い。





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