きっと、君を離さない
「いらっしゃい」
開園時間を待って、すぐに向かったスナック。
あの時より派手なメイクをした江梨子さんが迎えてくれた。
俺の顔を見ると驚き、少しして頷いた。
「あの・・・春香ちゃんは」
「あの子なら・・・体調悪いからしばらく休むって」
「え・・・あ、そうですか・・・」
バイトも休んでる。
いったい、どうして?
「決めたの?」
「・・・はい。俺は、春香ちゃんの側にいるって決めました」
「・・・そう。生半可じゃ、務まらないわよ」
「わかってます。いくら拒まれても、放すつもりはありませんから」
そう決めたんだ。
でも、その思いを彼女に告げることもできず、そもそも伝える気もなかったけれど、彼女は意味深な言葉を告げて消えたんだ。
「・・・彼女、俺の前から姿を消すつもりかもしれません」
考えたくないけど。