きっと、君を離さない
結局昨日は当てもなくて、アパートの前で帰りを待ってみたけど帰ってくることはなかった。
今日、放課後を待って春香ちゃんの通う高校の校門のところにやってきた。
そこで春香ちゃんを見つけられたらそれでよし。
でも、それは絶対と言っていいほどないだろう。
家にいない彼女だ。
学校に来ている可能性はゼロに等しいだろう。
それでも、彼女が学校に来ているのかどうかの情報が欲しい。
俺が唯一知っている理恵も、なかなか姿を現してはくれなかった。
仕方なく、名札を見て三年の人に片っ端から声をかけることにした。
これも長くは続かないだろう。
不審に思われて先生を呼ばれるか、最悪警察。
でも、意外にもすぐにクラスメイトは見つかった。
「あの、聞きたいことがあるんだけど」
「え?」
「時枝春香って知ってる?」
「え、はあ・・・同じクラスですけど」
怪訝そうな男。
彼は春香ちゃんと同じクラスだという。
「よかった。今日、彼女学校に来てる?」
「・・・なんなんですか?」
「ごめん。俺、隣駅の大学に通う大学生なんだけど、彼女に忘れ物渡したくて」
「・・・来てませんよ。昨日から休んでますけど」
「そう。ありがとう」