きっと、君を離さない
「江梨子さん。春香ちゃんが行きそうなところどこか知りませんか」
再び店を訪ねた俺は、江梨子さんにそう尋ねた。
頼れるところは、ここしかなかったから。
「あんた、大丈夫?ひどくやつれた顔してるけど」
「大丈夫です。春香ちゃんの心に比べたら、俺なんて」
「あまり、無理をしないでね。無理をさせたくてあの話をしたわけじゃないんだから」
心配をしてくれている江梨子さんに笑ってみせる。
大丈夫。
俺がまいた種なんだから。
ちゃんと俺が、彼女を迎えに行かなくちゃ。
「それで・・・」
「行きそうな場所ね・・・。どうかしら。ここら飲み屋街はあの子は嫌いだろうし。またいろんな人を渡り歩いてるのかも」
「・・・そうですか。少し、探してみます」
前に会ったホテル。
あそこら辺を見てみようか・・・。
そんなことを思いながら歩き出そうとしたその時。
「あ、そうだ」
江梨子さんが声を上げた。