きっと、君を離さない
悠斗にさよならを告げて。
その足で、この町にやってきた。
施設に行って施設長さんに顔を出すと、嬉しそうに笑ってた。
でも、私の相変わらずの顔を見て少しだけ寂しそうな顔してたっけ。
幸せに暮らしていると思ったのかな。
もっと、笑ってると思ったのかな。
忘れたよ。
健太がいなくなって。
笑顔なんて、忘れた。
だって、笑顔だって健太が教えてくれたんだもん。
肌を刺す風が冷たい。
めっきり寒くなってしまった世界は、体の芯まで冷やしていく。
一夜だけ泊めてもらった施設を後にして、私はあの場所に向かった。
健太を亡くした、あの場所。