きっと、君を離さない



「こんなに冷え切って。ほらまた手袋してない」

「だって・・・健太が・・・俺が温めてあげるって・・・」




泣き声で、そんなことを告げれば。





「そっか。じゃあ、俺が温めてあげる」




そう言って私の両手を包み込んでくれた。





「帰ろう」

「・・・でも」

「うん。聞いたんだろ?菜緒のこと」




そうだ。
彼女の事。




「それは、春香ちゃんのせいじゃなくて。俺の責任だから」

「でも」

「菜緒が、酷いこと言ったんだろ?謝りたいって言ってた」

「あ・・・」

「ごめん」




なぜ彼が謝るのだろう。
私は、なぜ彼に救われてるのだろう。


なぜ、こんなに胸が温かくなってしまうんだろう。






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