きっと、君を離さない
「自業自得だよね」
彼の、冷たい声が聞こえる。
彼の視線は手元の体温計に注がれている。
あれから電車を乗り継ぎ自分の家に帰ってきた私は、帰ってきたそうそうぶっ倒れてしまったのだ。
彼の、それはそれはたいそうな慌てっぷりはぼんやりする頭でも可笑しかった。
そして、奥底にしまってあった体温計を探し出し、無理やりに測られた体温。
「38.7。完全なる熱だね」
「う・・・」
私を布団に寝かせ、呆れたようにそう告げる悠斗。
そもそも、当然のように私の家に上り込んでいる。
仮にも女の子の部屋に。
でも、不思議と不安はない。
前回の事があるからか、彼なら大丈夫だろうというおかしな自信もある。
「あんな寒空の下でずっと外にいたんだから。熱を出しても当然だね」
「はい」
「俺を心配させた罰。俺に看病されなさい」
それは、罰ゲームになっているのかと問いたい。
むしろ、それは悠斗に対する罰ゲームなんではないか。