きっと、君を離さない
「とりあえず、寝な。起きたらおかゆ作ってあげるから」
「・・・はい」
大人しくしたがっておこう。
罰ゲームらしいから。
私はおとなしく目を閉じる。
彼は、私から少し離れると台所に向かったらしい。
足音でわかった。
誰かがこの部屋の中にいる。
今まで私以外の音がしなかったこの部屋。
なんだか不思議な気持ちだ。
あ、鼻歌を歌い始めた。
なんの曲か、聞き取れないけど。
ともかく彼は、上機嫌らしい。
彼は、江梨子さんにここの事もあの場所の事も聞いたんだろう。
知っているのは、江梨子さんだけだ。
江梨子さんも、無闇に人に教えるような人じゃないから、江梨子さんが教えてもいいと認めた人なんだろう。
それ程必死に探してくれたということだろうか。
変な話だ。
たった数回関わっただけの私のために、ここまでしてくれるなんて。