きっと、君を離さない
看病の甲斐あってか、熱は結構すぐに下がった。
悠斗はニコニコしながら帰っていき、部屋に一人。
それでも、心は温かかった。
一人じゃなくなった気がした。
携帯を開いてアドレス帳を開く。
「あ」行のページに増えた一つの番号。
大石 悠斗
彼はニコニコと、私の携帯に自分の番号を登録していた。
なにがそんなに嬉しいのかと問えば、私に近づけたと喜んでいた。
私に近づけることが、それ程嬉しいのかと。
謎だ。
彼らしいシンプルなアドレス。
私の番号も、彼の携帯に登録された。
私の中に登録されているのは、これで3件。
江梨子さんと、
理恵と、
そして悠斗。
理恵とは、学校でもすっかり話さなくなってしまった。
というか、避けられているんだ。
きっと、草太さんと何かあったんだ。