きっと、君を離さない

｢・・・私ね、草太さんにさよならって言ってきたの｣

｢え？｣




切り出す前に、気になり問いかけた私に返されたその言葉に耳を疑う。
受け入れがたい言葉だったから。




｢さよならって言って、もう会わないつもり」

｢どうして・・・！｣

｢・・・想ってても辛いだけだから｣

｢辛いって、好きだって伝えてないんでしょう？｣




結局、諦めてしまうというの？
自分の気持ちも伝えないままに、その思いに蓋をしようというの？

それで、本当にいいの？





｢草太さん、付き合い始めたって・・・。邪魔なんて、できるわけないもん」

｢それだって、本人に聞いたわけじゃないんでしょ！？」

｢でも！私見たもん！女の人と親しそうに一緒にいる草太さん・・・｣





苦しそうな表情の理恵。
私は、納得できない。

せっかく、人を好きだと思えたのに。
そんな簡単に思いも伝えずに忘れようとするなんて。




私は、恋だってできないのに。




そんな風に、誰かを想うことなんてできないのに。