きっと、君を離さない

｢だから、あいつが菜緒じゃなくて春香ちゃんを選んだって知って、腹が立った。悔しかった。だから、春香ちゃんにもつい意地悪なこと言っちゃった｣

｢・・・え？」



思わず出てきた私の名に視線を向ける。




｢ごめん。あんなこと聞かされて、平気なはずないのにな｣

｢いえ・・・。私のせいだってことにはかわりないので・・・。知れてよかったと思ってます｣

｢今は・・・。俺は、あいつを信じるつもり。あいつが、選んだ道を応援する｣

｢草太さん・・・｣

｢菜緒は、俺が何とか説得するから。時間はかかるだろうけど。だから、春香ちゃんは心配しなくていいよ｣




草太は笑った。
私の存在は、煩わしいはずなのに。
私が現れなければ、きっと二人の仲がこんなことになることはなかったんだから。


悠斗の優しさを、私が利用したんだ。




胸が痛む。





悠斗の優しさに、草太の思いに。






私は、なにも返せない。





｢ごめんなさい｣




そんな言葉さえも、無力だ。