きっと、君を離さない
もっと早くに教えてあげるべきだった。
そうすれば、今は変わってた?
そうすれば、こんな思いすることはなかったの?
「でも、春香ちゃんの言葉を借りれば。俺も、その程度だったってことじゃないかな」
「え?」
「理恵にとって、その程度の気持ちだったってことだろう?」
私の口ぶりから、理恵の気持ちを察したんであろう草太はそう言った。
その程度の気持ち。
そうなの?
あんなにも、草太の事を話す理恵は幸せそうだった。
本当に、その程度の気持ちだったの?
「理恵は、本当に草ちゃんの事・・・好きだったんです」
「春香ちゃん・・・」
「でも、自分に自信がなくて、・・・いつも逃げてばかりで」
私が何度、ぶつけても。
カツを入れても、結局届かなかった。
「こんな風に、最後まで逃げるなんて・・・」
それが、理恵が出した結論なの?
草太からも、私からも、この街からも逃げることが。
理恵の出した、最善の道なの?