きっと、君を離さない
そんなの、信じたくないよ。
「理恵・・・」
駅について、辺りを探してみたけど理恵の姿は見つからなかった。
アナウンスをしてもらっても、その姿を最後まで見つけることはできなかったんだ。
正午をすっかり過ぎた夕方になって。
ようやく諦めた私たちは、帰る。
草太は私を家まで送り届けてくれた。
最後まで、優しく私を慰めてくれて。
アパートの階段を上がる。
重い足取りは、いつも上がる階段を果てしなく遠く感じさせた。
私の部屋の前。
座り込んで顔をうずめている人の姿。
すぐに分かったんだ。
それが、だれかって。
「悠斗」
掠れる声で、彼の名を呼んだ。