きっと、君を離さない
父はどうしようもない人間だった。
思い出すのは、酒に酔っ払い暴れる父の姿。
どうして母は、あんな人を選んだのか。
気の弱い母。
いつも、泣いてばかりの母。
そんな弱い母が、私は嫌いだった。
助けてくれない。
父は、酔っ払うと決まって私に暴力をふるった。
酔っ払っているから力加減なんてできない。
いつだって本気だ。
時には、タバコの火を押し付けられたこともあった。
とても些細なことで、怒り散らした。
母は、泣いて助けてはくれなかった。
私は、最初の頃は泣きさえしたが、歳を重ねるごとにそれも無駄だと悟った。
泣いたところで、何も変わらないのだと。