きっと、君を離さない



大学を飛び出して、ひたすらに走る。
電車に乗り込み春香のアパートへ。


俺がしていることってなんなんだろう。
春香にとって、それは必要なんだろうか。

いつも頭をよぎる想い。



俺は、ただの独りよがりなんじゃないか。
もしかしたら、エゴなんじゃないか。




その答えがわかる日が来るの?





アパートの階段を駆け上がり、チャイムを鳴らす。
しばらくしても、返答はない。
もしかしたら、バイトなんだろうか。

スナックのバイト・・・。
本当はやめてほしいけど、そんなことを言える立場にないから。



もしバイトならまた来た道を逆戻りだ。
それに、バイトに出れているなら、俺の心配は杞憂に終わったということ。

それならそれで安心なのだけど。
なんだか胸にスッキリとしない想いがモヤモヤと湧き上がる。




ドアノブに手を添え、そっと回す。
ガチャ、と音を立てなんの引っかかりもなく開いてしまった。



「春香?いるの?」





いるにしても、不用心だ。




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