きっと、君を離さない


春香の側にいたい。
ただそれだけのことが、どうしてもうまく伝えられない。



信じてもらうことがこんなにも難しいことなのだと知った。



「じゃあ、・・・なんでみんな私を置いてくの・・・。健太も・・・理恵も・・・!みんな・・・っ!」

「春香・・・」

「あんただって、・・・いつか私を置いてくんだ・・・!」

「俺は!置いていったりしない!春香を置いて、どこにも行かないから!」



そんな言葉、気休めにもならないと知っていながら。





「うそつき!うそつき!うそつき!」





春香は突然叫びだすと、手当たり次第に物を投げつける。
棚の中身をなぎ落とし、手にしたものを投げつける。

投げた本が頬を霞め、血が滲む。



俺は必死に春香に駆け寄りそれを止めようと抱きしめる。
俺の腕の中、暴れる彼女を必死で抑えつけながら。
泣きたい心を必死でたきつけていた。




なにがこんなにも彼女を苦しめるのか。
わかってやれないことがこんなにも、無力だ。





いつの間にか大人しくなった春香は、ぐったりと俺の腕の中で目を閉じていた。
暴れ疲れて眠ったらしい。

俺は、ホッと肩をなでおろしベッドに横たえた。





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