きっと、君を離さない


水に流れていく真っ赤な血を見つめていたら、意識までも引っ張られるような気がして。
全てを、投げ出したくなってしまったんだ。






「あんま、思いつめんな」

「・・・・だ、って・・・・」






溢れ出す思いと涙は、いつまでも、現実からは逃げさせてはくれなくて。
目を瞑れば、あれは夢だったのだと、ただの悪夢だったんだと、思える気がして。


それでも、現実は現実で。
逃れられない、現実が俺を押しつぶしていく。
守れなかった、情けない自分と、口先だけの弱い自分。



「春香ちゃん・・・大丈夫だったよ」

「え・・・」

「傷も浅かったし、手当ても早かったから・・・。命に別状ないって」

「そっか・・・よかった・・・よかった・・・」




ホッとして、身体から力が抜けそうになる。
それを池内に支えられながら。




「春香のとこに・・・行かせて」

「いいけど・・・大丈夫か?」

「俺は、なんだっていい。どうなっていいから、春香のとこに・・・」




俺の身体なんて・・・大切な人も守れない俺の身体なんて。
今はただ、彼女を想う。




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