きっと、君を離さない
病室で眠る春香は、穏やかな表情で眠っていた。
その姿に、涙がこみ上げてくる。
「大石」
「・・・ごめ・・・。俺、ほんと・・・だめだ・・・」
こんな弱かったかな。
情けなくて、どうしようもない。
「付き添いの方ですか・・・?」
病室に入ってきた看護士さん。
俺は、慌てて涙を拭い見る。
「少し、場所を変えて話よろしいですか?」
「・・・はい」
俺と池内は顔を見合わせる。
看護士に連れられ、ある一室に来た。
そこには医師がいて、テーブル越しに向かい合って座った。
「あの、時枝さんのご家族の方の連絡先はご存知ですか?」
「いえ・・・」
「そうですか・・・」
春香は施設にいたと江梨子さんが言っていた。
だから、家族がいるのかいないのかさえ知らない。