きっと、君を離さない
フラフラと部屋を出て。
目的もなくただ歩く。
お願いです。
俺から彼女を奪わないで。
それは、誰への願いだろう。
「・・・うああああああああ!!!」
叫びながらその場に蹲る。
自分の無力さに、絶望を感じながら。
「大石!落ち着け!もういいよ!もう・・・」
「うっ・・・ああ・・・・」
「このままじゃ、お前がダメになる」
俺なんて、どうなったっていいよ。
春香の痛みに比べたら、こんな胸の痛み。
春香の孤独に比べたら、こんな苦しみ。
俺の思いとか、願いとか、そんなものちっぽけだったんだと。
彼女の抱えているものの大きさに、今更になって怖気づいてる。