きっと、君を離さない


フラフラと部屋を出て。
目的もなくただ歩く。




お願いです。
俺から彼女を奪わないで。



それは、誰への願いだろう。






「・・・うああああああああ!!!」





叫びながらその場に蹲る。
自分の無力さに、絶望を感じながら。





「大石!落ち着け!もういいよ!もう・・・」

「うっ・・・ああ・・・・」

「このままじゃ、お前がダメになる」




俺なんて、どうなったっていいよ。
春香の痛みに比べたら、こんな胸の痛み。


春香の孤独に比べたら、こんな苦しみ。




俺の思いとか、願いとか、そんなものちっぽけだったんだと。
彼女の抱えているものの大きさに、今更になって怖気づいてる。




< 231 / 390 >

この作品をシェア

pagetop