きっと、君を離さない



少しでも苦しみを、忘れさせることができるかな。



ピクッと指先が動いた。
ゆっくりと、春香の瞳が開かれていく。




「春香・・・?」

「春香ちゃん」




二人で声をかければ、春香の視線は交互に俺たちをとらえた。
パチパチと瞬きを数回して不思議そうに眺める。




「春香、俺たちがわかる?」




そう問いかければ、小さく頷く。
よかった、とホッとしたと同時に溢れだす涙。



ああ、笑っていようと思ってたのに。





「・・・なに、泣いてるの」




俺の涙を不思議そうに眺める春香。
俺は、泣きながら笑って答える。




「春香が、目を覚ましてくれて、うれしいんだ」





そう言うと、さらに不思議そうに目を丸くするんだ。





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