きっと、君を離さない
理恵と、下の名で呼び合うようになった。
初めは距離のあった二人だったけど、少しずつ近づいていく。
初めて出来た友達という存在が、嫌なわけじゃなかった。
少しだけ、信じてみたいと思ったんだ。
どうしてだろう。
理恵が真っ直ぐに向かってきてくれたから?
わからないけど。
「春香。あのね」
「何?」
突然、頬を赤らめた理恵が切り出した。
一体何の話だと耳を傾ける。
「私、好きな人ができた!」
「ええっ?」
「きゃー!」
照れくさそうに顔を覆ってジタバタとする理恵。
何だその可愛い仕草は。
恋をすると人はこうなるのか。
少しだけ興味深い。
私はもう恋はできないから。