きっと、君を離さない



「退院おめでとう」

「ありがとうございます」


退院して三日後、悠斗の手引きで草太と会った。
草太にも、迷惑をかけたからお礼がしたいと言ったらすぐに連絡を取ってくれたんだ。



「草ちゃん・・・。心配と、迷惑をかけて本当にごめんなさい」

「そんなこと、気にしなくていいって」

「でも・・・」




こんなにも素敵な人たちに囲まれた。
なんて幸せなことだろうと、今なら気づける。




「なんのお構いもできず・・・」

「え?いや、全然いいって」



ここは私のうち。
その方が私がリラックスして話ができるだろうと、お店でもなく草太の一人暮らしの家でもなくここに決まった。
そして、悠斗は気を利かせ近くのスーパーに買い物に出ていて今はいない。


私が、草太と話したいことをなんとなく感づいていたんだと思う。





「・・・私、もう逃げないって決めました。ずっと、悠斗からも現実からも逃げてきたけど・・・もう、やめようって」

「そっか」




私が切り出した話に、草太は穏やかに笑う。



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