きっと、君を離さない
「あ!池内!春香泣かせたな!」
「は?ちげーよ。帰って早々うるせぇな」
「ちげくないじゃん!泣いてるし!」
涙を拭いきれなかった私を見て草太に講義を始める悠斗。
でも、表情は笑ってる。
草太もそれがわかってて反論している。
楽しい。
こんな感情が、私にもあったなんて知らなかった。
「なにかされたらすぐに言うんだぞ?春香」
「ふふっ。わかった」
「ちょ、わかったって、春香ちゃん!?」
そんなやり取りがおかしくて笑った。
本当に二人は仲がいいんだなって思ったら、おかしくて。
「春香が、笑った」
ぽつりと驚いたように呟いた悠斗の声。
次の瞬間、勢い良く抱きしめられた。
「ちょっ、悠斗・・・?」
突然の事に目を丸くさせる。
草太もいるのに。