きっと、君を離さない
「仕事、慣れた?」
「ん?まぁ、ぼちぼちかな。でも、少しずつできる仕事も増えてきたよ」
「そっか」
悠斗は、働き出してとても生き生きしている。
仕事が、楽しいらしい。
「春香は、やりたいこと決まった?」
「・・・まだ。そろそろ決めないとって思ってるけど」
「じゃあ、スナックはまだしばらく続けるんだ」
「・・・うん」
悠斗は、私がスナックで働いていることをあまりよく思ってない。
私が接客をやり始めてから余計。
直接はっきりと言ったりはしないけど、その表情とか声色でなんとなく感じる。
こういう風に、時々確認するんだ。
でも私は、それに気づかないふりをする。
今の私には、この道しかないから。
「でも、まだ19なんだからね。お酒は飲んじゃダメだよ」
「わかってる。それは、江梨子さんがちゃんと配慮してくれるから大丈夫」
まるで保護者だ。
そんなことを言ったら怒るから言わないけど。
時々、過保護すぎる悠斗に息が詰まることがある。
贅沢だってわかってるけど。
悠斗は私の事を想っていってくれてることわかってるから。