きっと、君を離さない



「今日は、ありがとう」

「ああ。今度うまいもん食わせてくれたらいいよ」

「ははっ、わかった。いいところ探しとく」



全てが終わった後、一足先に草太が帰る。
二人っきりになった部屋。
新しいカップに紅茶を入れ、新しいテーブルに向かい合って座る。




「お疲れ様」

「お疲れ様」

「ありがとな」

「ううん」




自分の家で二人でいる時とは違う、緊張感が漂う。
自分のテリトリー以外のところ。
変にドキドキして落ち着かない。




「春香、手だして」

「え?」



ドギマギしている私に気づかないまま悠斗はそう切り出す。
顔をあげると真剣な顔をしていて、さらに緊張感が増す。


そっとテーブルの上に手を出す。
悠斗はその手の上に握った手を乗せる。




「・・・?」




悠斗の顔と、その手を見比べる。
悠斗の手が緩み、何かが私の掌に乗った感触がする。




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