きっと、君を離さない
「これ、春香に持っててほしい」
そう言って悠斗が手をどけた。
私の掌に乗せられたもの、それはカギ。
「これ・・・」
「この部屋の鍵。いつでも来てくれたらいいから」
そう言って優しく笑う。
私は戸惑い悠斗の顔をじっと見つめる。
「ごめん、重いよな。でも・・・これが俺の気持ちだから」
「悠斗の・・・気持ち?」
傾いた夕日は沈んでいき、部屋はすっかり薄暗くなっていた。
「俺は、あの時から気持ちは変わってないよ。俺は、春香の事が大好きってこと」
「・・・悠斗」
「春香の側にいたい。春香は、あの時、もう少し側にいてって言ったけど。俺は、もう少しじゃなくて、ずっと春香の側にいたいんだ」
どうして、私をこんなにも思ってくれるんだろう。
私は、あの日からなにも返せていないのに。