きっと、君を離さない
「春ちゃん、最近よく笑うようになったわよね」
バイト中、江梨子さんに突然そんなことを言われた。
私は、なんて返事をしていいか戸惑い開店準備をしていた手を止める。
「それに、なんだか綺麗になった」
「な、なにを言ってるんですか。それは、化粧をしているからで」
「バカね、違うわよ。化粧じゃなくて」
接客をするようになって、濃い化粧にドレスという格好の私。
化粧をしている分、確かに大人っぽくは見えると思うけど。
「恋、してるんじゃないの?」
「え・・・」
江梨子さんには、なんでもお見通しなんだろうか。
私は動揺を隠せずオロオロとその場を行ったり来たり。
「ずっと、思ってたのよ。でも、ここのところそれを余計に感じるから」
「ずっと・・・?」
「ええ。ここに来た当時と比べて、とても表情が明るくなっていったもの」
きっと、悠斗と出会ってからの事だ。
そうだったんだ。
私、変わってたんだ。