きっと、君を離さない
「てめえ!」
悠斗が、私を襲っている男に思い切り足蹴をくらわせる。
どれほどの力だったのだろうか、男は思いっきり吹き飛ばされた。
「っ、くそ!」
男は慌てて立ち上がると、一目散に逃げて行った。
「待ちやがれ!」
追いかけようとする悠斗の腕を掴む。
すると、悠斗はすぐに私に向き合う。
「春香」
瞳が揺れている。
心配そうな表情を浮かべ、眉を寄せ私を見つめる。
少ししてハッとしたように目を見開くと、落ちていたコートを広い汚れを払い私にかける。
コートごと一緒に私の事を抱きしめると、深く息を吐いた。
「心配した・・・ごめん、遅くなって」
「・・・っ、なんでここにいるの・・・?」
悠斗の家はずっと遠いのに。
なんで?