きっと、君を離さない
ガクガクと、震える身体。
ぱさぱさに唇が渇き、乾いた声が漏れる。
視界が涙で歪む。
「探したんだぞ、春香」
「・・・い・・・や・・・」
頭の中を巡る、ごちゃごちゃした感情。
目の前に現れた、私をずっと苦しめてきた存在に、息ができなくなる。
その声で、その顔で、私の名を呼ばないで。
―春香
―春香!!!
脳裏に響く、怒鳴り声。
浮かぶのは、醜く歪んだ怒鳴り顔。
「春香。お前、スナックで働いているらしいな。金、持ってるんだろう?な?お父さんを、助けてくれよ」
伸ばされた手。
その手が、昔見た振り上げられた手と重なる。
「いやああああああああああ!!!!」