きっと、君を離さない



どうして今更。
どうやってここを調べたんだろう。



ガクガクと震えが治まらない身体。
しばらく玄関で震えながら蹲っていた。





まだ最初は。
物心がついた頃は、まだ幸せな家族だったような気がする。
どこにでもいるような、なんの変哲もない普通の家族。




それが、いつからそうなってしまったのか。
子どもの私はわからないけれど、父と母の間にケンカが増えてきたことが始まりだった。



夫婦間の喧嘩だったのが、いつの間にか大きくなり。
酒におぼれた父はついに私にその標的を向けることもあった。




避けに酔っ払って帰ってきた父は、ストレス発散のように私に暴力をふるった。
最初こそ助けてくれていた母も、いつしか自分を守るために見てみぬふりをした。

私がいくら泣き叫んでも、助けを乞うても母は見てはくれなかった。
助けてはくれなかった。




“助けて”
その言葉は、無意味なのだと知った。




助けてと言っても、誰も助けてはくれないのだと。





だから、私はやめたんだ。





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