きっと、君を離さない
携帯の着信音が鳴り響く。
ビクッと肩を震わせる。
どれくらい、こうしていたんだろう。
私はよろよろと立ち上がり携帯を探す。
ディスプレイに浮かぶ、悠斗の名。
少し、ホッとする。
深く深呼吸をして、落ち着かせる。
心配を、掛けたくない。
これ以上、余計な心配を。
「もしもし」
―もしもし、春香?よかった、今休憩時間?
「・・・うん。悠斗も?」
―そ。今日は、自分で弁当を作って食べてる
「すごいじゃん」
悠斗には、私は昼間の仕事を始めたと言っている。
そうでも言わないと、やめただけだとお金の援助を申し出そうだから。
こんな風に、ごまかしながらじゃないと側にいられないのは辛いけど。
―今度さ、大きいプロジェクトを任されることになったんだ。先輩についてだけど
「すごいね!」
―すごい、不安だけど。頑張ってみる
とても生き生きした声。
きっと、すごく嬉しいんだ。
仕事、頑張ってるの知ってたから私も嬉しい。