きっと、君を離さない
「あ、私の友達の春香です」
「ああ、この前言ってた。はじめまして。奏太です」
「はじめまして!俺、悠斗」
「・・・はじめまして」
モヤモヤと浮かんでくる黒い感情。
ダメだ、押しつぶされそう・・・。
「練習始めるぞー」
そんな声が聞こえ、「じゃ」と手を挙げると二人はいってしまった。
ホッと肩を落とす。
「こっちで見てよう?」
「うん・・・」
壁際の隅っこに腰を下ろし、練習風景を眺める。
5人ずつに分かれて試合をしているみたい。
さっきのふたりは同じチームで、声を掛け合いながら攻めていく。
息のあった二人。
さっきのキラキラした笑顔とは違う、真剣な顔。
ボールがゴール前で、悠斗に渡る。
一度ぬこうと見せかけ体勢を戻すとすぐにシュート体勢に入る。
手から離れたボールは弧を描き、シュッと綺麗な音を立てどこにも当たることなくゴールに入った。