きっと、君を離さない
女の人。
どこかで聞いた覚えのある声のような気もする。
「はい、そうですけど・・・」
―今晩は、遅くにごめんなさい。江梨子です。わかります?
「・・・あ、春香の親戚の・・・」
スナックを経営している江梨子さん。
どうして江梨子さんが春香の携帯から?
スナックを辞めたとしても、江梨子さんは春香を支えてくれている人だ。
今でも交流があったっておかしくはない。
それでも、春香ではなく、江梨子さんが春香の携帯から俺になんて・・・。
少し、不安がよぎる。
―スナックに、来ていただけませんか?
「え?今から・・・ですか?」
―はい
今からって、もう11時を回ってるというのに。
確かに、スナックだからむしろ今からって時なのかもしれないけど。
「どうか、したんですか?」
―春香が、倒れました。仕事中に・・・
「・・・え?」
その言葉に、俺は耳を疑った。